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「城を再起不能なまでに燃やして」スマホゲーにハマる父親に苦悩、法的に制限できる?
2016年04月29日 09時00分

「父の城を再起不能なまでに燃やし尽くしてくださる方、募集します」。スマホゲームにハマる65歳の父親に困っているという投稿者からの呼びかけが、1万2000回以上リツイートされ、話題となった。

投稿者によると、父親がはまったのは、架空の国の国王となって、オンラインで他のプレイヤーと対戦するシミュレーションゲーム「クラッシュ・オブ・キングス」。仕事中もゲームするほど夢中になり、家族は「一家離散寸前」の状態なのだという。

投稿者は、2度とゲームをする気が起きないよう、ゲーム上で父親を徹底的にやっつけてくれるプレイヤーを求めて、ツイッター上で事情を打ち明けた。

仕事に支障をきたし、家族にも迷惑をかけるような状態になった場合、子どもが親からスマホを没収するといったことはできないのだろうか。小松雅彦弁護士に聞いた。

「父の城を再起不能なまでに燃やし尽くしてくださる方、募集します」。スマホゲームにハマる65歳の父親に困っているという投稿者からの呼びかけが、1万2000回以上リツイートされ、話題となった。

投稿者によると、父親がはまったのは、架空の国の国王となって、オンラインで他のプレイヤーと対戦するシミュレーションゲーム「クラッシュ・オブ・キングス」。仕事中もゲームするほど夢中になり、家族は「一家離散寸前」の状態なのだという。

投稿者は、2度とゲームをする気が起きないよう、ゲーム上で父親を徹底的にやっつけてくれるプレイヤーを求めて、ツイッター上で事情を打ち明けた。

仕事に支障をきたし、家族にも迷惑をかけるような状態になった場合、子どもが親からスマホを没収するといったことはできないのだろうか。小松雅彦弁護士に聞いた。

●以前は、「浪費者」の経済活動を制限する制度があった

「65歳という年齢からすると、『成年後見制度』という制度を利用する方法が考えられますが、結論から言えば、投稿者のお父さんのスマホ利用を制限することはかなり難しいと思います」

小松弁護士はこのように述べる。なぜだろうか。

「成年後見制度は判断能力が低下した人を守るための制度で、2000年にできました。

この制度ができる前は、ひどい浪費をして自分と家族の生活を危険にさらしてしまう人は『浪費者』として、家庭裁判所が『準禁治産(じゅんきんちさん)宣告』をして、経済的な行為を保佐人が取り消せるようにするという制度がありました。

この制度であれば、お父さんのスマホ利用を制限できた可能性があります。しかし、2000年に成年後見制度が施行されたとき、浪費者を準禁治産者とする条項は廃止されました。

そして判断能力を欠いた人には『成年後見』、判断能力が著しく不十分な人には『保佐』、判断能力が不十分な人には『補助』という、新しい本人保護の制度が作られたのです」

●法的に対処することは難しい

現在の制度では、同様の対応はできないのか。

「後見・保佐・補助の制度でも、経済的な行為を取り消す仕組みはあります。

65歳という年齢からすると、加齢による人格変化や初期の認知症の可能性はないとは言えませんが、オンラインゲームが出来るということは、相当程度の判断力があるということだと思います。

そのため、後見や保佐を受ける要件には当てはまらないでしょう。補助を申し立てるには、本人の同意が必要ですが、お父さんが素直に補助の申し立てに同意しないでしょう。

また、本人の判断能力の程度を判断するために医師の診断が必要となりますが、そもそも、医師の診察を受けること自体を拒否する可能性が高いです。

結局、法的に対処することは難しいので、家族などが力を合わせて本人を説得するしか無いと思います」

(弁護士ドットコムニュース)

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