1450.jpg
熱中症の危機、車内の子ども「窓割って救出」しても大丈夫? くわ使った女性が話題
2020年08月25日 10時11分

自動車の中に閉じ込められた1歳男児を救出するため、男児の祖母が近くにあったくわで窓ガラスを割ったという富山県高岡市のニュースが話題になっている。

地元の北日本新聞(8月20日)によると、騒ぎは保育園の駐車場で19日午後5時前に起きた。

祖母が男児を後部座席に座らせ、ドアを閉めて運転席に乗り込もうとしたところ、男児が鍵のボタンでロックをかけてしまったのだという。男児がさわりたいとせがんだため、祖母が鍵を渡していた。

もとはといえば、祖母のミスとは言えるが、ミスのない育児などありえない。男児が無事だったこともあり、祖母の行動には「実際に自身の車の窓を割るのは勇気がいると思う」「責めないでほしい」といった声が寄せられている。

今回は自身の車なので問題なさそうだが、今年も全国各地で猛烈な暑さが続いている。車中に閉じ込められた子どもを一刻も早く救うため、もしも「第三者」が窓を割ったとしたらどうなるだろうか。

自動車の中に閉じ込められた1歳男児を救出するため、男児の祖母が近くにあったくわで窓ガラスを割ったという富山県高岡市のニュースが話題になっている。

地元の北日本新聞(8月20日)によると、騒ぎは保育園の駐車場で19日午後5時前に起きた。

祖母が男児を後部座席に座らせ、ドアを閉めて運転席に乗り込もうとしたところ、男児が鍵のボタンでロックをかけてしまったのだという。男児がさわりたいとせがんだため、祖母が鍵を渡していた。

もとはといえば、祖母のミスとは言えるが、ミスのない育児などありえない。男児が無事だったこともあり、祖母の行動には「実際に自身の車の窓を割るのは勇気がいると思う」「責めないでほしい」といった声が寄せられている。

今回は自身の車なので問題なさそうだが、今年も全国各地で猛烈な暑さが続いている。車中に閉じ込められた子どもを一刻も早く救うため、もしも「第三者」が窓を割ったとしたらどうなるだろうか。

●パチンコ店の巡回マニュアルに「ハンマー」の記載

たとえば、パチンコチェーンの業界団体がつくった「子どもの車内放置防止対策マニュアル」では、駐車場を巡回する際の持ち物の一つとして、ハンマーがあげられている。

子どもの様子次第では、店内で親を探したうえで、窓を割って救出するといったことが書かれている。星野学弁護士はこう説明する。

「車の窓ガラスを割る行為は理屈の上で『器物損壊罪』にあたります。ただし、 子どもの生命・健康に危険が迫っているのであれば、正当防衛と評価され、処罰されないでしょう」

同マニュアルには、子どもから一番遠い窓を割る、ガムテープを貼って飛散を防止するといった注意点が書かれている。ただし、一般の人の場合、そこまで気が回らないかもしれない。

「子どもにケガをさせた場合、その行為には正当防衛は成立せず『緊急避難』が成立するかどうかが問題となります。この場合、ガラスを割ってケガをさせるしか『他にとるべき手段がなかった』という条件が必要になります」

ただし、正当防衛・緊急避難が成立しなかったとしても、子どもを救うためであれば、形式上は犯罪に当たるとしても、不起訴処分になる可能性が高いと考えられるそうだ。

●まずは警察や消防の判断をあおぐ

刑事責任を負う可能性は低いと言えそうだが、割ってしまった窓ガラスの修理代を支払う必要はあるのだろうか。

「民事でも『正当防衛』として損害賠償請求が否定されるでしょう。

これに対して、子どもを放置した人と車の所有者が違う人の場合には、割った人は所有者に対して修理代金等を支払う責任が生じてしまいます。もっとも、支払った修理代金等はあとで子どもを放置した人に請求できるでしょう」

星野弁護士によると、こうしたトラブルを避けるためにも、自分だけで判断せず、警察や救急に電話して窓ガラスを割るべきかどうか指示をあおぐのが無難だという。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る