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天然パーマでいじめられ「縮毛矯正」した娘に学校が「戻せ!」、そんな対応はアリ?
2016年06月16日 10時52分

娘の縮毛矯正について、学校が「校則」を理由に認めてくれないーー。天然パーマにコンプレックスがある娘を持った母親の悩みが、ネット掲示板で議論となった。

投稿者の娘は、幼い頃から天然パーマに悩んでおり、小中学校では、それが原因でイジメの対象となった。新しい土地に引っ越し、高校に進学したことを機に、校則で禁止されていることを知りつつ娘が「縮毛矯正」をかけることを許した。縮毛矯正のおかげで、娘は笑顔を取り戻した。投稿者自身「メンタルケア」だと考えたという。

ところが、間もなく、娘が縮毛矯正をかけていることが学校側にバレた。校則違反だと指摘され、元に戻すよう求められている。娘の事情を話しても、「我慢している子もいる」「個性のひとつとして受け入れるべき」と取り合ってもらえない。もし、聞き入れない場合には、「推薦は取れない」と言われたという。

学校側の対応は、法的に問題ないのか。生徒に髪型の自由は認められないのか。村上英樹弁護士に聞いた。

娘の縮毛矯正について、学校が「校則」を理由に認めてくれないーー。天然パーマにコンプレックスがある娘を持った母親の悩みが、ネット掲示板で議論となった。

投稿者の娘は、幼い頃から天然パーマに悩んでおり、小中学校では、それが原因でイジメの対象となった。新しい土地に引っ越し、高校に進学したことを機に、校則で禁止されていることを知りつつ娘が「縮毛矯正」をかけることを許した。縮毛矯正のおかげで、娘は笑顔を取り戻した。投稿者自身「メンタルケア」だと考えたという。

ところが、間もなく、娘が縮毛矯正をかけていることが学校側にバレた。校則違反だと指摘され、元に戻すよう求められている。娘の事情を話しても、「我慢している子もいる」「個性のひとつとして受け入れるべき」と取り合ってもらえない。もし、聞き入れない場合には、「推薦は取れない」と言われたという。

学校側の対応は、法的に問題ないのか。生徒に髪型の自由は認められないのか。村上英樹弁護士に聞いた。

●「髪型の自由」を憲法上の権利と考えることは可能

「『髪型の自由』を権利として主張することは考えられることです。髪型の自由は、憲法13条が保障する幸福追求権の一つと考えることや、憲法21条が保障する表現の自由と考えることができます。

さらに、今回の事例では、積極的に『おしゃれをしたい』という意味の『髪型の自由』ではなく、いじめの過去と決別して平穏な学校生活を送りたいというのが生徒側の希望ですから、憲法26条が保障する教育を受ける権利を実現するという意味が強いともいえます。

そのため、憲法13条、21条、26条などが関係する人権問題ということができます」

村上弁護士はこのように述べる。すると、学校側が「パーマ禁止」などの校則を設けることは、「人権侵害」ということになるのか。

「当然にそのような結論になるわけではありません。『髪型の自由』が権利の一つだとしても、学校における教育目的のため校則などによって一定の制限を受けることは仕方ないからです。憲法に定められている『公共の福祉』による制限です。

現在の一般的な考え方としては、パーマを禁止する校則自体は、生徒が学業に専念しやすくする目的の規制として、適法なものと考えられています。

校則があって、『縮毛矯正』も禁止される『パーマ』に含まれるというのであれば、学校が、指導として、できるだけ縮毛矯正なしで登校するように生徒を説得するということ自体は不合理とはいえません」

●学校側の対応は、妥当だったのか

今回のケースは「適法な規制」といえるのか。

「今回の事例では、生徒側としては、特に奇抜なファッションをしたいという目的ではなく、むしろ、学校生活を送るにあたって妨げになる要素を取り除く目的で縮毛矯正をするというわけです。

過去に天然パーマを原因にいじめられたこともあるというのであれば、学校もある程度配慮をすべきではないでしょうか。

具体的にいえば、『推薦は取れない』等のペナルティを口にして強制するのはやり過ぎではないかと思います。

もし、やり過ぎの指導を余りにしつこくしたために生徒が不登校になるなどの事態が起こった場合や、やむを得ない理由のある縮毛矯正なのに校則違反として退学させるなどの処分をしてしまった場合などは、裁判になれば、学校の指導が違法であったとして慰謝料などの損害賠償請求が認められる可能性もゼロではないと思います」

●私立か公立かで結論は変わる?

今回のケースでは、私立高校か公立高校か明らかにではないが、その違いは結論に影響するのか。

「影響はあると考えられます。公立のほうが、私立よりも、行き過ぎた髪型の強制があった場合に、その指導や処分が違法になりやすいと思います。

理由は次の通りです。憲法は『国家と国民(生徒と公立高校)』との関係を規律するもので、『国民と国民(生徒と私立学校)』の関係を直接規律する法ではないからです。

公立の場合は、国や自治体が運営する学校のことですから、直接に憲法の問題になります。

一方で、私立の場合は、憲法は直接適用されるわけではありません。私立高校の生徒が、パーマをかけることを禁止する校則に違反するなどの理由に自主退学を勧告された事件の最高裁判決も、憲法が直接適用されるわけではないと判断しています。

もっとも、校則が不合理なものであれば、それによる処分が違法になることはあり得ます。

ただ、私立の場合は、学校毎の独自性が強く、また、生徒もそれに応じて希望して入学しているわけですから、学校の方針によって校則が厳しいのも違法になりにくいと考えられます」

村上弁護士はこのように分析していた。

(弁護士ドットコムニュース)

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