4989.jpg
さっぽろ雪まつり、スタッフ顔面めがけて「雪のかたまり」 迷惑配信者は「罪」に問われないのか?
2025年02月12日 16時56分
#さっぽろ雪まつり

さっぽろ雪まつりで、外国人男性が会場スタッフの顔をめがけて「雪のかたまり」を投げつける出来事があった。

北海道ニュースUHBなどによると、外国人男性は2月8日、さっぽろ雪まつりで動画の生配信をしながら、会場スタッフに近づいて、拳よりも大きく見える「雪のかたまり」を投げつけた。

拡散している動画では、スタッフは突然のことに驚いている。北海道ニュースUHBによると、間に入った外国人が近くにいた警察官に事情を説明して、外国人男性は注意されたという。

幸いにもスタッフにケガはなかったので、札幌市は被害届を出さないということだが、動画の続きでは反省の態度を示していないように思える。

いずれにせよ悪質と言えそうだが、雪のかたまりを人の顔に投げつける行為は法的に問題ないのだろうか。冨本和男弁護士に聞いた。

●暴行罪が成立すると考えられる

暴行罪(刑法208条)と威力業務妨害罪(刑法234条)にあたりうると考えます。

まず、暴行罪の保護法益は「人の身体」です。ここでいう暴行とは、「人の身体に対する有形力の行使」とされています。人に向けられていれば足り、物理的な接触は不要です。

今回のケースでは、人に向けて雪玉を投げつけて命中させていますので、暴行にあたり、暴行罪が成立するでしょう。

暴行罪の場合、2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料で処罰される可能性があります。

●威力業務妨害罪も成立しうる

威力業務妨害罪の保護法益は「人の業務活動」です。威力業務妨害罪は、威力を用いて人の業務を妨害した場合に成立します。

業務とは、人が社会生活を維持するうえで、反復・継続して従事する仕事ですが、必ずしも収入を得る目的でなくてもよいとされています。

雪まつりのスタッフの仕事も業務にあたります。

威力とは「人の意思を制圧するに足りる勢力を用いること」と定義されますが、要は、人が業務を続行しようとするのに躊躇をおぼえるような行為です。

雪玉を投げつける行為も問題なく威力にあたると考えます。

威力業務妨害罪の場合、3年以下の懲役または50万円以下の罰金で処罰される可能性があります。

雪玉を投げつけるという1つの行動で、暴行・威力業務妨害という2つの犯罪に該当するわけですが、こういう場合を「観念的競合」といいます(刑法54条1項前段)。

この場合、重たいほうの犯罪の刑罰、つまり今回のケースは威力業務妨害罪が適用されます。

なお、暴行罪も威力業務妨害罪も、被害者からの告訴なしに処罰されうる「非親告罪」とされています。

さっぽろ雪まつりで、外国人男性が会場スタッフの顔をめがけて「雪のかたまり」を投げつける出来事があった。

北海道ニュースUHBなどによると、外国人男性は2月8日、さっぽろ雪まつりで動画の生配信をしながら、会場スタッフに近づいて、拳よりも大きく見える「雪のかたまり」を投げつけた。

拡散している動画では、スタッフは突然のことに驚いている。北海道ニュースUHBによると、間に入った外国人が近くにいた警察官に事情を説明して、外国人男性は注意されたという。

幸いにもスタッフにケガはなかったので、札幌市は被害届を出さないということだが、動画の続きでは反省の態度を示していないように思える。

いずれにせよ悪質と言えそうだが、雪のかたまりを人の顔に投げつける行為は法的に問題ないのだろうか。冨本和男弁護士に聞いた。

●暴行罪が成立すると考えられる

暴行罪(刑法208条)と威力業務妨害罪(刑法234条)にあたりうると考えます。

まず、暴行罪の保護法益は「人の身体」です。ここでいう暴行とは、「人の身体に対する有形力の行使」とされています。人に向けられていれば足り、物理的な接触は不要です。

今回のケースでは、人に向けて雪玉を投げつけて命中させていますので、暴行にあたり、暴行罪が成立するでしょう。

暴行罪の場合、2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料で処罰される可能性があります。

●威力業務妨害罪も成立しうる

威力業務妨害罪の保護法益は「人の業務活動」です。威力業務妨害罪は、威力を用いて人の業務を妨害した場合に成立します。

業務とは、人が社会生活を維持するうえで、反復・継続して従事する仕事ですが、必ずしも収入を得る目的でなくてもよいとされています。

雪まつりのスタッフの仕事も業務にあたります。

威力とは「人の意思を制圧するに足りる勢力を用いること」と定義されますが、要は、人が業務を続行しようとするのに躊躇をおぼえるような行為です。

雪玉を投げつける行為も問題なく威力にあたると考えます。

威力業務妨害罪の場合、3年以下の懲役または50万円以下の罰金で処罰される可能性があります。

雪玉を投げつけるという1つの行動で、暴行・威力業務妨害という2つの犯罪に該当するわけですが、こういう場合を「観念的競合」といいます(刑法54条1項前段)。

この場合、重たいほうの犯罪の刑罰、つまり今回のケースは威力業務妨害罪が適用されます。

なお、暴行罪も威力業務妨害罪も、被害者からの告訴なしに処罰されうる「非親告罪」とされています。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る