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クラレとユニチカ、戦闘服「談合疑惑」で調査ーー秘密のやり取りはなぜバレる?
2016年03月10日 10時21分

自衛隊の戦闘服などの入札で、大手繊維メーカーの「クラレ」と「ユニチカ」が談合を繰り返していた疑いがあるとして、公正取引委員会は31日、両社の関係先を独占禁止法違反の疑いで立ち入り検査した。

報道によると、2社は、防衛装備庁発注の戦闘服や作業服など防衛装備品の入札で、事前に話し合って受注業者を決めていた疑いが持たれている。陸海空の各自衛隊の戦闘服や作業服には、気温や天候の変化に強い「ビニロン」と呼ばれる特殊な合成繊維が使用されており、2社はビニロンの主要メーカーだった。

防衛設備庁は、2006年に起きた旧防衛施設庁の発注工事をめぐる官製談合事件を受けて施設庁が解体された後、2015年10月に新たな調達組織として発足している。新たに持ち上がった疑惑について、独占禁止法に詳しい弁護士はどのように見ているのか。籔内俊輔弁護士に聞いた。

自衛隊の戦闘服などの入札で、大手繊維メーカーの「クラレ」と「ユニチカ」が談合を繰り返していた疑いがあるとして、公正取引委員会は31日、両社の関係先を独占禁止法違反の疑いで立ち入り検査した。

報道によると、2社は、防衛装備庁発注の戦闘服や作業服など防衛装備品の入札で、事前に話し合って受注業者を決めていた疑いが持たれている。陸海空の各自衛隊の戦闘服や作業服には、気温や天候の変化に強い「ビニロン」と呼ばれる特殊な合成繊維が使用されており、2社はビニロンの主要メーカーだった。

防衛設備庁は、2006年に起きた旧防衛施設庁の発注工事をめぐる官製談合事件を受けて施設庁が解体された後、2015年10月に新たな調達組織として発足している。新たに持ち上がった疑惑について、独占禁止法に詳しい弁護士はどのように見ているのか。籔内俊輔弁護士に聞いた。

入札談合は独占禁止法で禁止されている

公共調達の入札の場面において、入札に参加する企業が、事前に相談して受注する企業や受注価格などを決めてしまう行為は『入札談合』といわれます。

自衛隊(防衛省等)に関連する入札においては、過去から多数の入札談合が行われていたとして事件になっています。その中には発注側である国の担当者が、天下り先確保のために入札談合に関与しているケースもありました。

今回のケースは、詳細は不明ですが、企業のコンプライアンスとともに調達制度についても問題がなかったか、再度、見直しを行うきっかけにすべきだと思います」

籔内弁護士はこのように述べる。談合はなぜ問題とされているのか。

「国などが物品を調達する場合には、入札を行って安く納入できる企業から買うこととされています。税金を無駄遣いしないためにも、企業間の厳正な競争が行われて、入札制度が有効に機能することが重要です。

こうした『入札談合』は、『不当な取引制限』という違反行為として、独禁法により禁止されています」

証拠はどうやって集めるのか

今回のケースでも現在調査が続いているが、談合があったかどうかということは、どうやって立証するのか。

「入札談合においては、入札に参加する企業の営業担当者同士が、直接会ったり、電話をしたりして、受注したい案件や受注価格に関して、相互の意思疎通や情報交換を行っていることが通常です。

入札談合事件においては、違反の立証のために、こうした競争関係にある企業の担当者間でのやり取りの内容を調査していくことになります」

そうしたやり取りは秘密裏に行われることが多いだろう。調査は難しいのではないだろうか。

2005年の独禁法改正で『課徴金減免制度』という制度が導入されました。これは、入札談合等の違反事実を、自ら公取委に報告した企業は、課徴金という行政上の制裁金の額を減額・免除を受けることができるようになっています。

簡単に言えば、『素直に名乗り出て情報を提供すれば、ペナルティーを軽くしますよ』という制度です。

こうした制度により、公取委は、違反事実に関してより詳細な情報を入手しやすくなりました。企業においても、この制度を積極的に利用しているようで、公取委の公表情報でも、多くの入札談合事件において、課徴金減免制度に基づく違反事実の報告を行った企業があるとされています(公表を希望する企業については、企業名が公表されています)

入札談合の背景は様々なものがあるため、一概には言えませんが、例えば、仕様が特殊な製品については、納入できる企業数が少なくなるため、営業担当者同士もライバル企業を把握しやすくて接触しやすいといった事情から、入札談合に結び付く場合もあると思います

(弁護士ドットコムニュース)

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